東海の山で見つけてもらう備え ── 捜索の現場に聞いた話

東海の低山を日帰りで登る方にとって、「遭難」は自分には関係ないと思っているかもしれません。

やまはち

私自身も10年以上そう考えてきました。
遭難と聞くと北アルプスや冬山など、険しい山で起こるイメージがあります。

実際には岐阜・愛知・三重など東海地方の身近な低山でも毎年遭難事故が発生しています。日帰りで登れる山だからといって遭難のリスクがないわけではありません。

この記事では東海の低山でなぜ遭難が起きやすいのかを知り、見つけてもらうために山に入る前にできる備えと道に迷ったときにすべきこと・してはいけないことを考えていきます。

遭難者の捜索を専門に行う「ココヘリ」に取材協力をいただき、捜索の現場を知る方々から、実際の遭難事例や捜索についてお話を伺いました。

\ 山に入る前にできる備えを /

この記事を書いている人
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東海の山でも遭難は起きている

御在所岳とロープウェイ
御在所岳とロープウェイ

昨年1年間で三重県の御在所岳(標高1,212m)では18件の遭難が発生していました。

出典:三重県警察本部「山岳遭難発生状況等 令和7年中」

鈴鹿山脈の中でも人気の高い山でロープウェイを利用すれば比較的手軽に山頂まで行くことができます。

やまはち

特別に厳しい山ではありません。私も何度も登ってきましたし、このブログでも紹介してきました。

同じ鈴鹿の鎌ヶ岳、藤原岳、入道ヶ岳もそうです。私にとっては、どれも「よく行く山」でした。まさか遭難する山、という感覚はありませんでした。

しかし、これは三重県警が発表している数字です。

三重県全体では山岳遭難が80件でした

三重県では山岳遭難が過去最多に

三重県内で2025年に発生した山岳遭難は80件・94人。前年(62件・69人)から18件増え、統計を取り始めてから最も多い件数になりました。

亡くなった方は10人で前年の5人から倍に増えています。

岐阜県でも2025年の山岳遭難は123件で前年より29件増えています

出典:岐阜県公式ホームページ「山岳遭難について」(2025年10月30日更新)

ただし、岐阜県には北アルプスなどの高山もあるため、数字だけで三重県と単純に比較することはできません。

一番多い原因は道迷い

94人のうち、37人が道迷いでした。4割近くになります。次が滑落で25人。

なぜ道迷いが多いのか、その理由についても三重県警が紹介しています。

御在所岳でも標高は1,212メートル。北アルプスや南アルプスの2,000〜3,000メートル級と比べれば、たしかに低い。こうなると十分に準備をせずに軽装で登山をしてしまう。

出典:三重県警察「水難・山岳遭難の防止について」
短パンと軽装のシューズで樹林帯の登山道を歩く人の足元

これは実際に見かける光景です。元アウトドアショップの店員だったせいか、すれ違う時に足元がまず目に入りました。スニーカーで登っている人。夕方になってから登り始める人。

やまはち

そのたびに「大丈夫かな」と思っていました。
その心配は統計の中に入っていたわけです。

実は同じことをまったく別のところでも聞きました。

ココヘリの捜索本部責任者の話

日帰りの低山は持ち物が少ない。食料も、体温を調整する服も足りない。そこへ天候の変化や日没、熊といった危険が重なってくるため、早く見つけることが大事になる。

警察と捜索の現場。立場の違う二者が別々に同じ結論に行き着いています。

ひとりで登る人ほど、助かっていない

遭難した94人のうち、単独で登っていた人は33人。およそ3人に1人です。
亡くなった方と行方不明になった方11人のうち、単独だったのは7人。こちらは3人に2人にあたります。

単独登山者は全体の3割ほどなのに、亡くなったり行方不明になったりした人では全体の6割以上を占めています。

しかも、これは去年だけの話ではありません。3年前の統計でも、亡くなった5人のうち4人が単独登山者でした。

やまはち

単独登山は、遭難したときに助かるまでのハードルが高くなる傾向があるようです。

準備している人にも起きている

LINEコミュニティ「ぽてぽて登山部」のキャラクターイラスト

この記事を書くにあたって、私が運営するLINEコミュニティ「ぽてぽて登山部」でアンケートを取りました。

道迷いや滑落などのヒヤリとした経験の全部が東海の山で地図アプリで家族と位置を共有している方、事前にルートをダウンロードしている方と書いた方もいました。

「準備していれば大丈夫」ではなく、「準備していても起きる」。

低い山ほど、見つかりにくい

道に迷うこと自体はどの山でも起こります。問題はその後に「見つけてもらえるかどうか」。

そして、遭難した場所によって、見つけやすさには違いがあります。

なぜ低い山ほど見つかりにくくなるのかを詳しく説明していきます。

樹林帯では上空から人は見えない

樹林帯に覆われた登山道と竜ヶ岳方面を示す道標

理由は地形にあります。北アルプスのような標高の高い山では森林限界を超えると視界が開けています。一方で標高の低い山では樹林帯や崖に遮られ、起伏も多くなります。上空から探しても木々の下にいる人を見つけるのは簡単ではありません。

ココヘリのCMOの話

GPSで位置情報が分かっていても最終的な救助には目視での確認が必要です。「位置が分かること」と実際に「要救助者の姿を確認すること」は別です。位置が分かっていても、見えない場所にいる場合は捜索や救助に時間がかかります。

なので樹林帯では上空から要救助者を確認しにくく、ヘリによる目視捜索も難しくなります。

上空から見ても、木々に覆われた斜面はほとんど見通せない(動画提供:ココヘリ/AUTHENTIC JAPAN株式会社)

鈴鹿も奥三河も、岐阜の里山も樹林帯が多い山域です。

冬は高い山も同じように捜索が難しくなる

雪と霧氷に覆われた冬山の稜線
ココヘリのCMOの話

「低い山のほうが見つけにくい」というのは雪のない時期に限った話で、雪山では標高の高い山でも捜索は難航します。

それに命に関わるリスク自体は高い山のほうが高いのです。
滑落などがその代表です。低い山が全面的に危険だという話ではありません。

  • 雪のない時期は低い山のほうが見つけにくい(樹林帯・崖・起伏)
  • 高い山は年間を通して滑落のリスクが高い
  • 冬はどちらも捜索が難しくなる

鈴鹿は冬に雪が積もります。御在所岳も藤原岳も冬は別の山になるので東海だから冬は関係ないとはならないわけです。

見つかるまで、日帰り装備では持ちこたえられない

やまはち

「早く見つけることが大事になる」という説明をしていただきました。

ココヘリの捜索本部責任者の話

日帰りで低い山に登る人は持ち物が少ない。これは当然のことです。日帰りなのですから、食料も体温を調整する服も必要最小限になります。

ところが遭難するとその前提が崩れます。

一晩越えることになれば食料が足りません。気温が下がれば、薄い装備では体温を保てない。日が落ちれば動けなくなります。東海の山には熊も出ます。

闇に囲まれた空間と見えない物音に怯え、精神に極度のストレスを与えることが危険となります。

食料や気温の話は想像がつきましたが、暗闇と物音への恐怖まで挙げられたのは意外でした。実際に山で夜を越えることになれば、これが現実になります。

ここまでの話を重ねると東海の山で遭難したときに起こることが見えてきます。

見つけにくい。そのうえ、持ちこたえにくい。

私自身、「日帰りだから、そこまで装備を増やさなくてもいい」と考えてきました。

しかし、遭難は「日帰りで帰る」という前提が崩れた瞬間に始まります。

見つけてもらうために山に入る前にやっておくこと

捜索の現場を知る方々への取材を通して山に入る前に準備しておくことが万が一遭難した際の捜索を早めるうえで重要だと分かりました。

では具体的にどのような準備が遭難時の捜索に役立つのか、山に入る前にできることを一つずつ見ていきます。

登山届は捜索の範囲を絞るためのもの

登山届にはどんな意味があるのでしょうか。

ココヘリの捜索本部責任者の話

遭難は既に道に迷うなど本来の行動から外れたことから発生しています。計画があれば、捜索側としても「ここまでは問題なかっただろう」と予測や分析が立てやすくなります。計画がない場合、遭難者の山の歩き方などを1から分析することになります。必然的に早期発見は難しく生存率が低下していきます。

登山届は「予定通りに歩くための書類」ではありません。

登山届があるかどうかは捜索する側にとって重要な手がかりがあるかどうかにもつながります。

提出が義務づけられているかどうかに関わらず、登山届を出しておくことには大きな意味があります。

東海の山はほとんどが提出義務の対象外

岐阜県には「岐阜県北アルプス地区及び活火山地区における山岳遭難の防止に関する条例」があり、登山届の提出が義務づけられています。違反すれば過料もあります。

出典:岐阜県公式ホームページ「山岳遭難防止条例」(2026年1月7日更新)
登山届の対象山
  • 北アルプス地区(焼岳を含む)
  • 活火山地区(御嶽山・白山・乗鞍岳)

私は登山届を毎回出しています。正直なところ、これまでは「登山するときに出しておくもの」という程度にしか考えておらず、その意味を深く考えたことはありませんでした。

やまはち

今回、捜索本部の責任者の方から話を伺い、登山届が捜索の手がかりになることを知りました。

そして、もうひとつ気になることがあります。遭難が最も多かったのは登山届の提出が義務づけられていない鈴鹿山脈でした。

家族には「連絡がつかなかったらどうするか」まで伝えておく

「行き先を家族に伝えておきましょう」とよく言われます。

では、家族からの連絡が遅れてしまうのはどんなときなのでしょうか。

ココヘリの捜索本部責任者の話

ご家族がどこへ行ったのかを把握していない状態とお互いの身に何か起きた時の対処手段を共有していないときです。またお互いのことを無関心でいることが危険なサインとなります。

やまはち

行き先を知らせるだけでなく、「連絡がつかないときに何をするか」を決めておく。そこまでが準備でした。

地図アプリは入れる。ただし、万能ではない

私は鈴鹿の分岐で、「こっちだろう」という自分の感覚を信じて、違う方向に進みかけたことがあります。YAMAPの地図を開いて間違いに気づき、戻ることができました。地図アプリには助けられています。

やまはち

ただ、捜索本部責任者の方からは携帯電話は山では「圏外になるもの」と考えておくことが大切だと教わりました。

登山アプリは便利ですが、スマートフォンが電池切れや故障になれば使えません。地図を事前にダウンロードしておけば圏外でもGPSで現在地を確認できますが、スマートフォンそのものが使えなくなるリスクはあります。

アプリだけに頼らない準備が必要
  • 地図アプリを入れ、ルートは事前にダウンロードしておく
  • 電池切れに備えてモバイルバッテリーを持ち、使わないときは機内モードにする
  • 紙の地図とコンパスの使い方を少しずつ覚えておく

気づいていながら、なぜ進んでしまうのか

迷ったと気づいたのにそのまま進んでしまうことがあります。理由は人それぞれですが、共通しているのは「戻るのが面倒」「もう少し先に何かあるはず」という心理です。

この章では、私自身とココヘリの捜索本部責任者がそれぞれ経験した「気づいていながら進んだ」場面を振り返ったうえで、気づいた後にどう行動すべきかをお伝えします。

気づいていながら進んだことがある(私の実体験)

明王山から見た城山と猿啄城への道標
明王山から見た城山と猿啄城への道標

登山を始めたばかりの頃、各務原アルプスで道を間違えたことがあります。明王山から城山へ向かうつもりが、別の道に入っていました。

途中から間違いには気づいていました。それでも「どこかでつながっているだろう」と思い、そのまま下ってしまったのです。

各務原アルプスで実際に道を間違えた分岐。左が下山方向、右が城山方面
実際に間違えた分岐。左が山を下りる道、右が本来進むべき城山方面
城山方面と下山方向に分かれる登山道の分岐と道標
分岐には道標が立っていた。右が城山方面、左は山を下りる道

実際にはスタート地点から見て反対側まで下りていました。そこから猿啄城側の山へ登り返し、あらためて下山することに。かなり体力を使うことになりました。

紅葉の中を流れる沢沿いの登山道
実際に迷いかけた雨乞岳の登山道

それからしばらくして、鈴鹿でも似た場面がありました。分岐で「方角的にこっちだろう」と自分の感覚だけで進もうとしたのです。

このときはYAMAPを開いて確認しました。すると、自分が考えていた方向が間違っていることに気づき、引き返すことができました。

同じ自分でも初心者の頃と今では判断が違います。

違ったのは自分の感覚を信じて進んだか、それとも地図を開いて確認したか。

やまはち

この経験から少しでも「おかしい」と感じたら、自分の感覚だけを信じずに地図で確認するようになりました。

山を捜す側の方も同じところでつまずいていた

この話をココヘリの捜索本部責任者の方にしたところ、ご自身の経験を教えてくださいました。

まだ捜索の仕事に就く前、百名山を人とは違うルートから登ろうと計画したときのことだそうです。沢や谷を越えて稜線までたどり着いたものの、そこで自分が予定とは違う稜線にいることに気づきました。それでも、引き返す気持ちにはなれなかったといいます。

「ですが引き返す気持ちにはなれませんでした。何時間も時間を無駄にすると考えたからです。」

そのまま計画にない稜線を進み、岩にしがみつきながら危険な岩壁を横切ることになりました。そして、その途中で、遭難したまま見つけてもらえずに亡くなっていた方に出会ったそうです。

「恐怖よりも、悲しみよりも、なぜこの人はここにずっといるのだろう」

下山後、交番に届け出たものの、その後その方がどうなったのかは分からないままだそうです。

「もしかしたら、まだあそこにいるのかもしれないです。」

この話を伺って、初めて捜索する側の目線を知りました。

やまはち

私の「たぶんつながっているだろう」と思い込んで進んだ経験と、この方が経験されたこと。
重みはまったく違いますが、間違いに気づきながら、引き返さなかった。そこだけは、同じ心理だったのかもしれません。

迷ったと気づいたら、まず歩くのをやめる

「遭難した方にやってほしいことは何ですか」と伺ったところ、返ってきた答えは道具でも技術でもありませんでした。

ココヘリの捜索本部責任者の話

遭難していることを早い段階で理解し、認めることです。

逆にやってはいけないこともはっきりしています。

何とかしようと歩き回り無理をすることです。その行動が事故となり動けない体になるからです。

沢を下ってはいけない理由とそれでも下りるときの手順

「迷ったら沢を下るな、尾根に登れ」はよく言われます。

沢を下ってはいけない理由
  • 沢は下るほど滝や崖に行き当たる
  • 引き返そうにも、登り返すのは下るより難しい
  • 谷は視界が狭く、方角も分からなくなる
  • 樹林に覆われて、上空からも見えない

ここまでは、登山の注意点として多くの記事で紹介されている話です。

それでも、人は沢へ向かいます。水があるからです。

では、なぜ沢へ行ってしまうのでしょうか。

ココヘリの捜索本部責任者の話

飲み水の確保としては仕方のない行動だと思います。ただその沢を下って町に戻れるという保証はありません。

水無しで2日間を過ぎると筋肉が痙攣を起こすといわれています。3日目では意識が朦朧とし臓器などが機能を停止していきます。

水を求める判断自体は間違いではない。問題はそのまま沢を下ってしまうことでした。

では、どうしても水が必要なときはどうするか。教えていただいた手順がこちらです。

  • 尾根に拠点を作る(下りきらない)
  • 荷物の一部を尾根に置いていく
  • メモを残す。紙がなければ、分かるように痕跡を残す
  • 沢へ向かったことが伝わるようにする
  • 同じ道を戻れる状態を確保してから下りる

捜す側から見れば、尾根に荷物があることは「この人はここにいた」という手がかりになります。何も残さずに沢へ下りてしまうと、その手がかりごと消えてしまうわけです。

よくある質問

山で遭難したら登る理由は?

尾根に出れば、登山道に戻れる可能性が高く、見つけてもらいやすくなるからです。

尾根は地形が読みやすく、登山道が通っていることも多い。見晴らしがきくので、上空からも発見されやすくなります。下るより体力は要りますが、その分安全です。

遭難したら沢を下ってはいけない理由は何ですか?

下れば下るほど戻れなくなり、滝や崖で行き止まりになるからです。

沢は下流に向かうほど傾斜が急になります。降りられそうに見えても途中で進めなくなり、そこから登り返すのは下ってきたときよりずっと大変です。谷底は樹林と斜面に囲まれ、ヘリコプターからも姿を確認できません。

ただし、水がなく沢へ向かうときは、尾根に荷物やメモを残し、戻れる状態にしてから下ります。

山で遭難したら登り返すのは怖いですか?

体力的にはきついですが、下るより安全です。

疲れているときに登り返すのは、正直つらい判断です。「ここまで下りてきたのに」という気持ちも働きます。それでも、怖いのは登り返すことではなく、そのまま下り続けることでした。

山で遭難したら費用は誰が払うのですか?

警察や消防による捜索・救助は公費でまかなわれ、登山者の負担はありません。

費用が発生するのは、民間のヘリコプターや捜索隊が動く場合です。警察や消防の捜索は3日から1週間ほどで打ち切られることがあり、それ以降は家族の依頼で民間の捜索に切り替わります。

なお、山岳保険はかかった費用を補償するしくみで、遭難者を発見する捜索サービスとは別のものです。

登山届は義務ですか。どこに出せばいいですか?

山域によります。東海の山の多くは義務ではありません。

岐阜県では条例により、北アルプス地区(焼岳を含む)と活火山地区(御嶽山・白山・乗鞍岳)で提出が義務づけられており、違反には過料があります。金華山、各務原アルプス、鈴鹿の山々は対象外です。

提出方法は以下です。

  • 登山口の登山届ポストに入れる
  • コンパスやYAMAPなどのオンライン登山届サービスを使う(岐阜県・三重県とも、警察と情報を共有する協定を結んでいます)
道に迷ったと気づいたら、まず何をすればいいですか?

歩くのをやめて、自分が遭難していると認めることです。

そのうえで、まずは自分の現在地を確認します。地図アプリはあらかじめルートをダウンロードしておけば、圏外でもGPSを使って現在地を確認できます。

来た道が分かり、安全に戻れるのであれば引き返します。ただし、無理に動くことで状況が悪化する可能性もあるため、無理な行動は避けます。

携帯電話の電波が届く場合は、警察へ110番、または消防へ119番で通報し、指示に従います。ココヘリの案内でも、この順番での対応が示されています。

私が変えたこと

この記事を書くまで、私は遭難を北アルプスや冬山のような厳しい環境で起こるものだと思っていました。取材と統計を通して、その前提は違っていたと分かりました。

登山届も「出しておくもの」でしたが、捜索の手がかりになると知り、これからは書く内容も変わると思います。

そして、家族への伝え方も今日から変えられます。

やまはち

まずはそこから始めます。

捜索を早めるためにできること

事故が起きてから治療を受けるまでは、大きく4つの段階に分かれます。

  • 通報(気づかれる)
  • 捜索(見つける)
  • 救助(運び出す)
  • 治療

このうち通報・救助・治療は、警察や消防、医療機関が担う部分です。民間のサービスでその時間を縮めることはできません。縮められるのは捜索の時間だけです。

一方で遭難した人を早く見つけるために登山者自身が事前にできることもあります。

登山者自身が事前にできる事をまとめました。
捜索の手がかりを残しておくこと

捜索の手がかりを残しておくことです。登山届を正確に書くことや家族に行き先を伝えておくこと、位置情報を発信できる手段を備えておくことが捜索を早めることにつながります。

ココヘリもそのための手段の一つ。

通報の手段

最近はスマートフォンの衛星通信機能を使えば、携帯電話の電波が届かない場所からでも通報できる場合があります。ただし、対応しているかどうかは機種やサービスによって異なります。ココヘリでも実際に衛星通信の実地テストを行っており、詳しい結果を公式サイトで確認可能。

救助を待つあいだに役立つもの

捜索本部責任者の方に救助を待つあいだ持っていて役に立つものを伺いました。ヘッドライト、ツェルト、Pokkem(ポッケム)、そして発信機の4つ。

Pokkemは細谷火工が製造する山岳用の小型発煙筒で赤い煙が70秒以上上がります。質量は約40グラム。火薬を使わない製品です。使う場所を選ぶ必要があるので取扱説明書を必ず確認してください(仕様は細谷火工公式サイトより)。

私自身も今回の取材を通して普段から「見つけてもらうための備え」をしておくことの大切さを考えるようになりました。

ココヘリの発信機は携帯電話の電波を使わないため、圏外の場所でも専用の受信機で位置をたどれます。0.5m単位で位置を特定できるそうです。

2026年2月、三重県警察とココヘリを運営するAUTHENTIC JAPANが、山岳遭難捜索の協力に関する協定を結びました。

出典:AUTHENTIC JAPAN株式会社プレスリリース(2026年3月4日)

鈴鹿で最も遭難が起きているという、この記事の前半で見た数字を受けての動きです。受信機は全国41都道府県の警察・消防が導入されています。

今回の取材にあたって発信機をお借りし、各務原アルプスで実際に携行しました。持ってみて分かったのは付け場所と残量確認。

体が覆いかぶさると電波が弱くなるため、ザックの雨蓋やショルダーストラップの上など、倒れても体の下にならない位置に付けます。残量はLEDの色で確認しますが、明るい場所では見えづらく、曇りの日でないと分かりにくい場面がありました。手で覆うと確認できます。

ザックのショルダーストラップ上面に取り付けたココヘリの発信機
倒れても体の下にならないよう、ショルダーストラップの上面に取り付けた

なお、会員登録はしていないため、マイページからの登山計画の提出などは実際には試していません。

その備えの一つとして、ココヘリがどのようなサービスなのか、気になる方は一度見てみてください。

ちなみにですが、唯一短縮可能な「捜索時間」を実現できるのがココヘリです。

\ 山に行く人と、待つ人の安心に /

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